カワハギ釣りに苦戦しているみな様へ

 だいぶ前に書いた「年寄りのたわごと」をリニューアルしてみました。

 一昨年のカワハギ豊漁の年にカワハギ釣りを始めた方々は、当たりも多く、釣りやすい年でありましたが、今年は魚の数も少なく加えて外道のキタマクラやサバフグがやたらに多くベテランでも苦戦しております。これにめげずに頑張っている皆様に、迷いの種を提供するのはどうかな?と思いましたが、当たりを取って魚を掛けていく様子を見ていると、何となく独りよがりで餌を食べたいと云うカワハギの気持ちを考えていないように思えたので、書いてみました。

 例えば、当たりがあった時に、糸が張り過ぎていて、ハリスの長さだけで即聞き合わせでは、カワハギが餌を吸い込む間というか幅が足りないように思います。機会があったら、カワハギの口に自分が使っている針をいれてみてください。自分の針がかなり小さいものか分かると思います。小さい針は唇に掛かることが多く、バレの原因になります。口に合った針を差し出すように釣ればバレはかなり防げます。

 この「年寄りのたわごと」が役に立てばよろしいんですが、役に立たないようでしたら捨てていただければと思います。

 皆様の大漁を祈念しております。

横浜かわはぎ釣り研究会

 

相談役 長谷川 勝一

年寄りのたわごと

令和元年9月1日

横浜かわはぎ釣り研究会

相談役 長谷川 勝一

 

 迷ってはダメと言いつつ、迷いの種を撒き散らします。釣りの指南にはならないけど、こんな考え方もあると知ってもらえれば、幸いです。

 尚、私も含めて、釣り人のうんちくは独りよがりのことが多いので、鵜呑みにすることは厳禁です。ちゃんと咀嚼して自分なりに消化してください。

 経験則による理屈は必要であるが、理屈だけではカワハギは釣れません。釣りの腕と理屈が平行ならば、問題はありませんが、理屈が勝つと、かえって釣りをむずかしくするだけの無用の長物になります。情報過多の世の中です。頭でっかちの釣り人が多いのも仕方ありませんが、頭ではカワハギは釣れません。やはり実践にかなうものはありません。実践+経験則⁺理論が必要です。自分でしっかり釣った魚と釣れてしまった魚とでは価値が違います。

 私の釣りは、カワハギに餌を差し出して、吸い込ませる釣り方です。餌を差し出す、聞くの繰り返しで、当たりが出るまで差し出す(たるませる)聞き上げる(張る)の連続です。

 カワハギ釣りは百人いれば百通りの釣りで、これが絶対という釣り方は有りません。ですから、自分に合った、自分の基本的釣り方をしっかりと確立して、迷ったときはその自分の基本的釣りにすぐに戻れるようにできるのが一番です。カワハギ釣りは必ず迷います。迷いの釣りと決めて、迷いを楽しむのも手ですが、やはり人よりも一枚でも多く釣りたいと思うのもカワハギ釣りだと思います。釣行を重ねるごとに釣り方が変わっていきます。その内、何となく自分なりに釣りやすい釣り方が確立してきます。そしたら釣行のたびにこの自分の基本形から始めると、潮や魚の動き、位置(情報)が餌の取られ方で判断できます。但し、餌を付けて一回降ろして上げるまで同じ釣り方でやること。途中で釣り方を変えると正しい情報を得ることができない恐れがあるからです。

 一回降ろして上げるまでのインターバルを短くすることも必要です。例えば餌が全くなくツンツルテンの場合にカワハギはキタマクラかの判断に迷いますが、餌の確認のインターバルを短くすると針にちょこっとアサリのカスのように残っているのがキタマクラです。

 又、おもりを動かして釣るときは、カワハギが錘を怖がる場合もあるので注意です。音が出るおもりも音に寄る時と寄らない時もあるので注意が必要かも。要するに激しい動きの良いときと悪いときの見極めも必要かも。

 そして、一番しなければいけないのは、自分なりの反省です。人間は楽しいこと、釣りで言えば大釣りは決して忘れませんが、貧果の場合は忘れてしまいます。だから、ちゃんと反省をして自分の悪いと思われることを、修正していく努力が必要です。船頭、潮、釣り座等のせいにしては決して上手くなりません。小生は、和竿でカワハギを釣っていますのでカーボンロッドに私の釣りが合うかどうかはわかりませんが、合わないようなら考え方を、これを読んでいる方が自分なりに嚙み砕き、消化して自分のものにしてください。

 人の釣りを真似ることは必要です。しかし竿も違えば、仕掛けも針も違います。腕も違いますので誘い方を真似しても良い結果にはなりません。真似をするのではなく、その人の釣りを見て魚の状況、海の状況を得る、たとえばたるましているのか、張っているのかまたは棚を切って釣っているのか等から魚が底にいるのか、宙にいるのか、ゼロテン状況なのかの情報を得ることです。なかなか出来ないことですが、一番良いのは、丁重にその人の教えを請うことでしょう。但し、釣りの師匠を選ぶときは出来れば一人ないし二人に絞ることです。冒頭に書いた通り、決め手のない釣りですから、多くの人から教えられると、情報過多となり釣りがバラバラになってしまいます。

 釣り人は釣り方を教えたがる割には、肝の部分を企業秘密のごとく教えないことが多いので、肝の部分は自分で見つけることが必要かも。肝のところを教えても理解できない場合もありますが。人の教えを鵜呑みにせず自分なりに咀嚼して人の釣り方を自分なりの釣り方にしていくのが一番です。

 私の40年も迷った末の結論は迷っている時が釣りは楽しいもの、自分の釣りが完成したか、それに近いと考えると周りから見れば一つの釣り方に凝り固まった、ただの釣り人。常に挑戦、挑戦そして迷う。これがカワハギ釣りです。小生の釣りの師匠でありました永島万水先生(カワハギ釣りの草分け)はリールを使わず、手ばね竿でカワハギを釣っておりました。魚を掛けて、糸を取り、手繰りこむまでの動作は、よどみ、ゆるみは無くて、はた目にも美しい所作で釣りをしていました。きれいなフォームで釣りをしている釣り人を見るとやはり動作に無駄がなく、経験が豊かだとすぐ分かります。小生もそのような釣り人になりたいと常々思って釣りを続けています。

 

基礎編

「竿の位置」

 魚が掛かった時は、竿は水平あるいは水平以上に保つ。

 近年、道糸、リーダー、ハリス等非常に強くなり、竿自体もカーボンの場合、竹竿と違い方向性(上向き、下向き、横向きでも可)も無く、強い反発力を持っていて、リールは高速回転で魚が掛かってからリールを巻くとき、竿に負荷が掛かり水平より下方向で巻いている人が多い。

 竿の弾力を生かすのは、竿を水平あるいは水平より10度~15度の角度を保つことが必要です。又、魚の急な引き込みに対し竿を下げながらドラッグをゆるめても、竿の先よりリールまで力が掛かるまでのタイムラグを補うためにも水平以上に竿を保つことが必要です。

 カワハギの場合は竿をどの位置で使用しても問題はないが、時には鯛のような大型の魚が来た場合にう悔しい思いをするのはあなたです。

 長い間、釣りをしてきた身には、理屈に合わなない使い方に違和感を感じつつ、きれいな釣り方に思いをはせる日々です。見た目に美しい釣りスタイルを我々も念頭において釣りしたいものです。

 

「迷いの種を船に持ち込まない」

 釣行にあれもこれもと、盛りだくさんに道具をバッグの中に入れない。

 小生がカワハギ釣りを始めた頃も針はあれが良いかな?これが良いかな?サイズは何号?仕掛けのサイズは?集魚板は等々、あれもこれもバッグに詰めての釣行でした。明日はどんな釣り方をしようとか頭の中は釣りのことで一杯、寝られない釣行前日でした。

 釣り方を前日シミュレーションしておくことは必要ですが、この前に良い釣りをしたからと、釣り方を決めてしまうのは、その時の条件がわからないのに危険です。だから自分の基本的な釣り方をしっかり身に着けておくことは絶対に必要です。迷った時に自分の釣り方にすぐ戻れるかどうかが先に行って大きくスランプに陥るかどうかの分かれ道かも。自分の基本ができていても、スランプに陥った時は、基本がわずかズレている場合もありますので、スランプに陥った時はわずかなズレを見つける事から始めるとよいでしょう。しかし、いずれは大なり小なりスランプに陥りますから傷を浅く抑えたいなら、早い時期から意識して自分の基本の釣り方を確立しておくことです。そして、海の状況、濁りなのか、澄んでいるのか、潮の流れが早いか遅いか、二枚なのか一本潮なのかを常に見極めて、加えて魚が活発に餌を追っているかどうかも見る。二枚潮は集魚板がよく動くかどうかで分かりますし、掛かった魚を巻き上げている途中で急に重くなる場合がそこが二枚潮の分かれ目です。唇に針が掛かっている場合はここで何の抵抗もないのにバレてしまいます。

 当日は海が釣り方を教えてくれます。と言うより当日、魚や海に釣り方を教わるのが一番です。自分はこういう風に釣りたいと考えると釣果はあまりよくありません。

 この当日でなければわからない情報と前日のシミュレーションとを合わせて当日の釣りを組み立てていくことが一番良いと思います。

  私は、仕掛けのサイズを2本針から3本針に変えたくらいでハリスの長さ、間隔も数十年変えていません。これは当日、海の情報を得るのに重宝だからです。基本的な仕掛けと釣り方であればたいていの場合、同じ針にカワハギは掛かってきますから、魚がどこにいるのかの判断ができるからです。そこでいまだに幹糸とハリスは直結です。自動ハリス止め等は餌の動きに支障をきたすように思えるからです。後述しますが私の釣りは、餌をいかにカワハギにアピールし、いかに、楽に吸い込ませるかが基本的な考え方になっているからです。したがって、状況が良い場合は、あるいは、上手く餌を差し出しているときは、釣った魚の3分の1は針を飲みます。

 針を飲まれると、カワハギの歯は2枚歯で、カワハギの口の横にかかるとカワハギが頭を振った時に、歯の間をハリスが通り、ハリスを切られることがありますし、そのようなカワハギはほとんど大型ですので、ハリスはフロロカーボンの3号で自分で針を結びます。ちなみに通常とは異なりますが、幹糸は2.5号です。餌の動きを自由に自分でコントリールできるようにするためです。又根がかりの時も年よりは力が弱く、手のけがを少なくするため、簡単に幹糸が切れるようにしております。

 

私の仕掛けサイズ(イラスト)

 

「釣り針」

自分の釣りに合った信頼のおける針を探す。

針もサイズや型が色々では迷うばかりで自分が一番釣りやすい針、その中でも伸びたり、折れたりしない信頼のおける、せいぜい2種類でサイズは魚に合わせるか餌のサイズに合わせるかですが私は餌の大きさに合わせます。近年、アサリは産地で大きくしてから出荷するようになり、餌向きのちょうどよいサイズを手に入れることが難しくなってきましたのでちょっと考えてみるとよいでしょう。そして、餌のついている針をいかに吸い込ませるかです。吸い込ませることに成功すれば、逆に吐き出しにくい大きな針が有効だと思いませんか?

魚は餌を喰うときには人間のように食べるものの大きさに合わせて口を開けません。自然界で餌に遭遇する回数の少ない魚は餌を喰う場合、餌の大小にかかわらず最大に口を開いて食います。だから、我々釣り人が考えている針のサイズよりワンランク上の針が良い場合もあります。池の鯉の餌をやると、大きな餌でも小さな餌でも、大きく口を開けて餌を吸い込みます。こんなことからも理解できると思います。わずかな糸の緩みを意識的に作り、カワハギが食う間を作れば自然と食ってきます。糸を張ったまま待つとあたりは分かるけど、食い込ませるには技術が必要となります。集魚板の目方を利用してわずか、ちょっとゆるめて餌を差し出してやれば食い込みます。集魚板を使わずに釣っていて、合わせそこなってバレにつながるのがこの例です。しかも針が小さければ掛かるだろうと針のサイズを落とすと今度は掛かったカワハギが針を折るとか、延ばせれるとか、唇に針が掛かってバレるのが落ちです。

近年の針は折れる針が多いように思います。ラインが強く竿も反発が強いから針に負担がかかり過ぎ、折れるのかもしれませんが、いずれにしてもしっかり合わせても折れない針を探すか、折れることを前提に使うかだろうと思います。ちなみに小生はカワハギ釣りを始めた時は「城ヶ島の大」と云う針でしたが、製造しなくなったので次に、昔ながらの金龍の丸セイゴ9号に変えました。安定した材質だからです。この針は折れることは無く、むしろ伸びます。しかし魚が掛かってノブることは過去に一度もありません。小生は丸セイゴのふところの狭さを補う為、わずかですが針を開いて使っていますが(針が伸びるからできること)何の支障もありません。だからと言って皆様に丸セイゴの使用を薦めるものではありません。自信を持って使える針、安心して使える針が一番です。一回折れたり、伸びたりすると釣りそのものの調子を崩すことがあるから、注意です。現在は「がまかつ競技用くわせ5.5号」を使っております。

又、最近カワケンで話されていることに、3本の針すべて違う針を付けるとの話を聞きますが、わたしは針を換えるなら3本とも同じ針で替えていくほうが良いと思います。当たるも八卦、当たらぬも八卦的なばくちのような考え方では釣りは上手にならないと思います。なぜならば魚がいつも同じ針に食うとは限りませんので、食い込みが悪いと思ったら3本とも同じ針で釣らないと、針の善し悪しの判定ができずに迷いながら釣る羽目になるからです。

 

「集魚板について」

集魚板または集寄は名前は魚が集まるように思えますが海の中を撮影したものを見ると集魚板にカワハギは集まりません。まして餌よりかなり上にある集魚板をたるませているときは少しは有効かもしれませんが、あまり集魚板には??だろうと思います。集魚を期待してごてごて飾った集魚板を見かけますが、仮に魚が集まったとしても、当たりを取るのが難しいの(魚が集まっても釣ることのできない飾りは無用の長物です)でやはりダメでしょう。但し、錘にはカワハギが興味を見せるようなので、錘には一考をお勧めします。

皆さんは、何気なく集魚板を付けていませんか?  集魚板を上手く使うことにより、釣果が大きく変わります。集魚板のめかたを調整している釣り人をあまり目にしないので、そこに気を付ける釣り人はあまりいないのかもしれません。

私が使っている集魚板は、横浜皮研の元下院である斉藤守氏作成による 縦横 35mm x 25mmで厚さ0.4mm 目方3.5gのステンレス製のモノを3連にして使っています。通常の潮の流れであれば1年を通して使っています。多分、市販されているものより軽いと思います。この軽い集魚板をなぜ使うかですが、カワハギに限らず魚は上から落ちてくる餌や喰いやすいゆっくり動く餌に良い反応を見せるからです。そして緩急をつけた餌の動きにカワハギの餌を食うスイッチが入るようです。しかし、重い集魚板を使うと自然に落ちてくる餌を演出できず魚が追わないというか、負えないように思われます。私の使用している集魚板は3連であるが故、水の抵抗と軽い目方によりカワハギの最適の落下スピードを演出してくれます。

この落下スピードの調整に集魚板を使うのです。例えば、同じ目からの3連の集魚板と同じ目方の中錘とでは潮の抵抗により落下スピードは変わります。その日、その時の適切な落下スピードを得る為に、最初はいろいろな目方、あるいは形状の集魚板を試してみるとよいでしょう。但し、前述の集魚板は通常であれば適切な動きをしますのでこれを中心にしてください。そしてこの集魚板の重さを、確実に自分のものにしておくと、集魚板の重さ+アルファが当たりのことも多いのでしっかり覚えておいてください。

 次に、この集魚板を使うにあたり、もう一つの注意点は道糸の太さです。私は1号を使っております。以前に0.8号等を試しに使用してみましたが、集魚板が動きすぎて失敗に終わりました。

道糸はメーカーにより同じ号数でも潮に吹かれやすいものや、潮に吹かれにくいものがありますので出来れば、微妙な当たりを取るカワハギ釣りですから号数やメーカーを安易に変えることはしないほうが良いと思います。号数を変えると集魚板の落下スピードが変わりますので細いほうが敏感だからと言って変えると、釣りそのものをかえることになりますので、出来れば、自分で当いできる条件はなるべくなら買えないことが得策かと思います。自分側の条件が一定なら、他の条件が変化しても、いち早く対処ができるからです。

尚、PEラインは細いほうが、伸びるような気がするのは私だけでしょうか?

夏場と冬場の水深が違うのに同じ集魚板が通用するのは水温の違いだろうと思っています。夏場は水温も高く、冬の冷たい時期を乗り越える為、そして産卵で賞もした体力回復のため、活発に餌を追うから、早い動きの餌の動きに追いつき、水温が下がる冬場はやはり水温低下に少し動きが悪くなる身体と思います。又、秋のように小型のカワハギが群れているときは、集魚板の目からを重くするか、強く早く動かさないとあっという間に餌は無くなります。このような場合は、たるませる良を少なく、早く強く動かしてわざと餌を追わせてから、一瞬止めるとくいの良い魚が飛びつくという戦法もありますので覚えておくとよいでしょう。

この集魚板を張った状態から、集魚板自体の目方で緩めていきます。底まで落とすか途中から当たりを聞く動作つまり上方向に引くかは、その日の魚の動きに合わせます。何を基準にするかは、前述のとおり、自分の基本のたるませ量から始めます。ここで自分の基本的な釣りが出ているかいないかが魚の動きや潮の流れを読むのに重要になってきます。私の場合は、集魚板が底に着くまで落として、底に着いたら瞬時に糸が張るまで引き上げます。

ゆるめる時が餌をカワハギに差し出すとき、引くときが辺りを取る時です。落下スピードとカワハギの動きが一致したときは、向こう合わせになることが多くなり、飲まれていることも多くなります。飲まれることはカワハギに対し違和感なく食い込ませているので、その時の釣りに合っている釣り方と判断します。

もう一つ、重要なのは最初の、様子見は、下げたり上げたりの動作を同じペースで繰り返します。決して止めてはいけません。餌の上下に静止のタイミングが入ると、動いているときに餌を取ったのか、止めた時に餌を取ったのか分からないから、最初は動かしっぱなして10回あるいは14回動かして、即回収します。その間でも当たりは来ることがあります。明確な当たりは、来ないと思ってください。それでもおかしいと思ったら、即合わせです。弛みを与えた釣り方ですから合わせは鋭く、大きい合わせが必要です。聞き合わせにすると、合わせは遅れます。最初は外道でもしっかりと合わせてみると、カワハギの当たりがわかるようになります。当たりがなくても、回収した餌を観察します。餌がきれいにない場合はほとんどカワハギです。この時は、次の投入時に落とすスピードは集魚板の目方だけでたるませ、聞き上げを早く糸が張るまで引きます。糸が張るまで引くと、今度たるむときは糸の反発でたるむときの速さが加速されます。これでも餌を取られるようなら、たるみを少なく、強く、早い聞き上げで対処します。ふわっふわっと羽化がしているとき、きゅっと糸を急に張るというようにイレギュラーな動きを入れると当たりが出ることもあります。これは、喰い渋っているカワハギには結構有効で、食いたくないけど急に変化する餌に飛びついてしまうようです。最初の状況把握から当たりの取り方に変わってしまいましたが、当たりは千差万別、おかしいと思ったら合わせてみることです。食い込んで頭を振るカワハギが当たりが明確に出やすいが、食い込んでもあまり動かない魚は、比較的一番ゆるめた時に当たることが多いから微妙なあたりになります。当たりが微妙だからと言って強く動かすとこのような食いの時は当たってきません。その時々によってカワハギが好む餌の動きがあるようです。不思議なものです。ちなみに、餌の点検時針先にわずかに点のようにアサリを残すのはキタマクラです。外道が多いときは、外道が餌に飛びつけないスピードできゅっきゅっと大きく動かします。カワハギはかなりのスピードで外道より早く餌を追います。キタマクラが多いときも同様です。

私の仕掛けは全長65cmですから、ゼロテンションで待つ位置から、集魚板が底に着くまでの65cmのどこのレンジを使うか、また、当たりを取るときに強く引くのか、弱く引くのかまたは中くらいで引くのか、糸が張るまで引くのか、糸が張る寸前でまた緩めるのか、この65cmの中にどのくらいの釣り方があるのか考えるとカワハギとの駆け引きの面白さがわかると思います。これに中層の釣りが入ってい来るとさらに迷いが増えます。

2枚潮の場合は集魚板は不通に動かしても、目方が軽いから、ほとんど動きません。このようなときは集魚板の目方を増やすのも手ですが、私は錘が動くくらいの強さで仕掛けを動かして2枚潮で出来た途中の道糸の弛みを意識的に取った後、一気に仕掛けを緩めます。すると集魚板は途中に浮いて、ごくゆっくり沈みます。このゆっくりした餌の動きが、カワハギにとって魅力みたいです。2枚潮の時は強く誘って、一気に緩めて、1,2,3,4ぐらい数えてから聞き合わせるとカワハギが餌を咥えていることが多いのも、覚えておくと良いでしょう。

集魚板を重くするときは、2枚重ねにします。3連で2枚重ねにすると6枚の集魚板が使えますが、私は、最高5枚しか使ったことがありません。

カワハギにすんなり餌を取らせて、初めてカワハギ釣りが始まります。餌を取らせないように考えるのは間違いです。いかにすんなり餌を食わせるかです。それには餌を差し出す、餌を食ったか聞いてみる。これだけです。カワハギ釣りを難しくしているのは釣り人かもしれません。

ゼロテンで待つときもわずかに糸を緩めてまたゆっくり竿に魚を乗せるように聞き上げると良いでしょう。

現在のカワハギは数も少なく、大型が多いのが特徴ですが、大きいカワハギは単独で居る時は、比較的ゆっくり餌を追います。小型のカワハギが群れる秋口はゆるめる幅を少なく、聞き上げは鋭く餌が跳ねるようにすると餌のスピードが落ちた瞬間に食ってきます。鋭く餌を跳ね上げると、今度集寄板が下がる時に餌は一回円を描くようにして、その頂点で一瞬止まりますので、そこをカワハギはすかさず食ってきますので、ここの一瞬が合わせ時です。

魚が底のほうで捕食しているときは、集魚板を底まで落とし、すかさず持ち上げますが、この時は糸が張るまで聞き上げず、糸が張る寸前で落としてやると比較的底に近いところで先ほどの円を描きます、ここで」喰っているとふっとした当たりあるいはもそっとした当たりが出ますので、糸が緩んでいるのだから素早い大合わせで、すかさず合わせます。

小型のカワハギが群れいてるときは餌が落ちてくる途中から餌にまとわりつき底に着いた時の一瞬の糸の弛みで餌を取ってしまいます。カワハギの数が多ければ多いほよど着底時に注意が必要です。私は錘が着底した瞬間に大きくしゃくり上げます。錘が少し持ち上がる位に強く竿を煽ります。これが餌機付いて来ているカワハギを一瞬錘で驚かせて餌から話して、その間に着底時に出る糸ふけを取り、臨戦態勢を整える時間稼ぎにしています。

 

別紙

「リリース」

横浜皮研では、カワハギ釣りの創始者の一人である,永島万水先生提案によりかなり昔より15cm未満のカワハギを対象外とし、リリースを推奨してきました。近年。横浜皮研では15㎝イカのリリースは変わらないが、放流兼を発行し数に入れることにしました。すると小さいと思われるカワハギはもとよりある程度の魚もリリースする会員が出てきてリリースする数も以前より増えてきました。

これは私からの提案であるが、隣の家のおかずを釣らずにリリースしてもらうとありがたいと思います。特に5月6月7月の3か月間は産卵を控えているのでカワハギを食べない釣り人は是非リリースしてもらいたいと思います。

丸十丸でタグを打ってリリースしたカワハギは再度、再再度連れてくることを見ても、リリースは魚族保護には有効と思われるので、協力してくれる釣り人が増えることを望みます。もちろん、おいしい魚でありますので、ご自分で食べるなら強制するつもりはありません。

 

「蛇足」

外道の反対語を知っていますか?  本来、外道は対象魚より価値の低い魚を外道と言ってきました。それでは対象魚より価値の上の魚が釣れた時はどうでしょう。本来は祭り物と言います。

櫓下廻りは釣り座を決める順番を言います。今は櫓のついている船はありませんが、櫓の時代は左舷艫に櫓がついておりましたので、櫓がついている左舷艫を1番として時計回りに席を決めることが多かったことから、櫓下廻りと言うようになりました。以前の横浜皮研の釣り座の年度末の成績順の決め方がまさに櫓下廻りです。

最後に、これは長谷川個人の考え方並びに釣り方ですので、冒頭に書きましたように、絶対という釣り方はカワハギ釣りには有りませんので、参考程度とお考えいただきたいと思っております。疑問が有れば、質問していただけ得れば、企業秘密は有りませんので、気軽にお声を掛けてください。

 

横浜カワハギ釣り研究会

相談役 長谷川 勝一



③④⑤で餌の向きが変わります。

向きの代わり際で餌は一瞬止まります。

ここが餌を食う間です。

⑤⑥でしゃくり上げますが、③④⑤で餌を加える間を与えているので、ここではしゅっと道糸が立った状態まですあ繰り上げます。

当たりはふっ、ぐっとかもぞとか千差万別ですので、おかしいなと思った瞬間でとよく合わせます。

最初は外道でも瞬時に合わせる練習をしましょう。

⑦から⑧⑨のように糸を緩めます。この時⑦から⑧へ移行する時に、集魚板の

目方で先に集魚板の方が下がるので、自然と餌の向きが③④⑤の時と同じ向きにかわり餌を食う間ができます。

イラストは基本です。弛ませる量や集寄板の目方は魚の動きに合わせます。

全体にくいの良い時、魚が群れている時、あるいは外道がうるさいときは集魚板を跳ね上げるようにすると、ある程度は外道を避けることができます。小型が群れているときも同様で、動きを止めると瞬時に餌無しです。魚が向こう合わせのように掛かるまで我慢です。